15年の判決、また一人の「暗号資産業界の大物」が収監、検察側は「400億ドル規模のLunaコイン大暴落」を「史上最大級の詐欺」と主張

ニューヨークの連邦判事は判決の際、「これは壮大で世代を超えた規模の詐欺であり、連邦検察の歴史の中でも、これほど深刻な金銭的損失をもたらした事件はほとんどない」と述べた。検察側によれば、Terraform Labsは2022年5月の崩壊により数十万人の投資家が400億ドル以上の損失を被り、暗号資産市場の連鎖的な崩壊を引き起こし、最終的にFTX取引所の倒産と2023年初頭まで続く「暗号資産の冬」へとつながった。

執筆：Zhao Ying

出典：Wallstreetcn

イギリスのFinancial Timesが金曜日に報じたところによると、暗号資産起業家のDo Kwonは2件の詐欺罪で懲役15年の判決を受け、その刑期は検察側の求刑をも上回った。この34歳の韓国人が支配していたTerraUSDおよびLunaトークンの崩壊は、投資家に400億ドル以上の損失をもたらし、アメリカ連邦検察史上最も深刻な金銭的損失をもたらした事件の一つとなった。

ニューヨーク連邦判事Paul Engelmayerは判決の際、「これは壮大で世代を超えた規模の詐欺であり、連邦検察の歴史の中でも、あなたがもたらした金銭的損失より深刻な事件はほとんどない」と述べた。検察側は当初12年の刑期を求めていたが、判事は最終的により重い量刑を言い渡した。

Kwonは今年夏、ニューヨークの法廷で、自身が発行した暗号資産グループTerraform Labsの証券を購入した投資家を故意に詐欺したことを認めた。検察側は彼の行為が「壊滅的」な影響をもたらし、一部の被害者は損失により自殺し、家庭が崩壊したと述べた。Terraグループの崩壊は連鎖反応を引き起こし、最終的にSam Bankman-Friedの取引所FTXの倒産、そして2023年初頭まで続く「暗号資産の冬」へとつながった。

木曜日の法廷では、黄色い囚人服を着て手錠をかけられたKwonが入廷した際、支持者から拍手が送られ、この暗号資産界の人物が有罪を認めた後も一定の影響力を保っていることが示された。

判事「投資家に対してほぼ神秘的な支配力」

Engelmayer判事は判決の際、Kwonが数千人のTerra投資家に対して「ほぼ神秘的な支配力」を持っており、多くの投資家は「カルトの信者のようで、今も目覚めていない」と述べた。

Kwonは量刑前に被害者に謝罪し、自身の過ちが「他の暗号資産創業者が今日の私の立場に立つことを防ぐことを願う」と述べた。彼は元Terraの同僚に感謝しながら涙を流し、その中の何人かは法廷に出席していた。

Kwonの弁護士であるHecker Finkのパートナー、Sean HeckerはFinancial Timesに対し、依頼人が「自らがもたらした苦しみに対する真摯な後悔を表明し、引き続き償いに努めている」と語った。

投資家は甚大な損失、路上生活者も

法廷では複数の被害者の陳述が聞かれた。ある58歳の女性は、Lunaトークンに8.1万ドルを投資したが、最終的に13ドルしか残らなかったと述べた。彼女は現在ホームレスとなり、ジョージア州トビリシの路上で生活しているという。

検察側は今年1月の起訴状で、Kwonが他者と共にすでに破産したTerraform Labsを共同設立し、「暗号資産購入者を詐欺する計画を企てた」とし、「嘘、操作、欺瞞の手段で築かれた金融世界」を構築したと指摘した。

Kwonはかつて、自社のいわゆるアルゴリズム型ステーブルコインを批判する者を公然と嘲笑したことで悪名高かった。このステーブルコインは1ドルの価値を持つLunaトークンと交換可能な設計だった。彼はかつて「Terraは人類の時代が終わるまで安定し続ける」と豪語していた。

崩壊が市場の連鎖反応を引き起こす

検察側は、Terraform Labsが2022年5月に崩壊したことで数十万人の投資家が400億ドル以上の損失を被り、暗号資産市場の連鎖的な崩壊を引き起こし、最終的にFTX取引所の倒産と2023年初頭まで続く「暗号資産の冬」へとつながったと述べた。

米国の金利低下とトランプによる業界への友好的な政策が、昨年末以降の市場回復を後押しした。しかし最近の売りで、最も活発に取引されている数千のトークンの価値が1兆ドル以上失われ、市場は再び長期低迷への懸念が高まっている。

事件の核心は、Kwonが外部のトレーディング会社の助けを借りて、2021年5月のTerraの危機をどのように隠蔽したかにある。検察側は、これらの出来事が公になっていれば、暗号資産の購入者は最終的に崩壊につながる欠陥を事前に知ることができたかもしれないと指摘した。KwonはTerraトークンの投資家を誤導し、2022年5月の同社の劇的な崩壊の「無自覚な当事者」としてしまったことを認めた。当時、同社のステーブルコインは姉妹トークンとのペッグを外れていた。

シンガポールからモンテネグロへ逃亡、最終的に引き渡し

2022年9月、韓国がKwonに対して刑事告発を発表した時、彼はシンガポールにいたが、その後プライベートジェットでセルビアへ逃亡し、さらにモンテネグロへ向かった。彼はモンテネグロで偽造パスポートを使ってアラブ首長国連邦へ向かおうとした際に逮捕された。

昨年12月、Kwonはモンテネグロから米国に引き渡された。彼はモンテネグロでほぼ2年間拘禁されていた間、ほとんど外部と接触できなかったと述べている。

法廷では検察側の業務ミスも明らかになり、被害者が陳述を提出できる期間が非常に短かったため、315通の被害者の手紙が法廷の約24時間前に一斉に提出された。

今年8月、Kwonは2件の詐欺罪で有罪を認めた。検察側は、Terraトークン崩壊の「数時間前」にもKwonが「ツイッターで批判者を貶めていた」と指摘した。