「ゼロ手数料」を売り文句にしているLighter、実際のコストは5〜10倍も高い？

Lighterの標準アカウントで得られるのは無料取引ではなく、より遅い取引です。この遅延は、より速い参加者によって利益源に変えられています。

執筆：@PerpetualCow

翻訳：AididiaoJP，Foresight News

ビジネスの世界にはこんな真理があります：「もしある製品が無料なら、あなた自身が製品なのだ」。

Lighter DEXはリテールトレーダーに「手数料ゼロ」を宣伝しています。一見素晴らしく聞こえますが、実際にはそうではありません。

しかしLighterは、この「無料」取引の背後にある遅延構造を大きく表示していません。

Lighterは2種類のアカウントタイプを提供しています：遅延の仕組みを理解すれば、0%手数料が実はプラットフォームで最も高価な料金であることが分かります。

その200～300ミリ秒の遅延こそが、彼らのビジネスモデルのすべてです。

300ミリ秒とは一体何を意味するのか？

人がまばたきするのに平均100～150ミリ秒かかります。あなたが2回まばたきする間に、より速いトレーダーはすでに価格変動を捉え、ポジションを調整し、あなたと逆方向の取引を行っています。

暗号資産市場は非常にボラティリティが高く、典型的なボラティリティ水準（年率50～80%）では、価格は1秒あたり約0.5～1ベーシスポイント変動します。

つまり、300ミリ秒の間に、市場のランダムな変動だけでも価格は平均0.15～0.30ベーシスポイント動きます。

「無料」の本当の代償

これを定量化すると：

逆選択コストに関する学術研究（Glosten & Milgrom、Kyle's Lambdaなど）によれば、インサイダー取引者の優位性は通常、価格のランダムな変動幅の2～5倍です。

300ミリ秒間のランダムスリッページが約0.2ベーシスポイントなら、逆選択によってさらに0.4～1.0ベーシスポイントが追加されます。

アクティブトレーダーやマーケットメイカーにとって、実際のコストはおおよそ以下の通りです：

• 標準アカウントの実質コスト：1取引あたり6～12ベーシスポイント（0.06%～0.12%）
• 上級アカウントの実質コスト：1取引あたり0.2～2ベーシスポイント（0.002%～0.02%）

「無料」アカウントのコストは有料アカウントの5～10倍です。

手数料ゼロは単なるマーケティング数字であり、本当のコストは遅延の中に隠されています。

上級アカウントの方が圧倒的にお得

どんな場合でも、標準アカウント（0%手数料）は最良の選択ではありません。

小口投資家、大口投資家、スキャルパー、スイングトレーダー、さらにはパッシブ投資家であっても、マーケットメイカーにとっても、誰にとってもそうです。

「私はただの小口投資家だから、上級アーキテクチャは必要ない。」

それは間違いです。

小口投資家ほどスリッページの影響を受けやすいのです。もし1,000ドルで取引し、1回ごとに10ベーシスポイント損失すれば、毎回1ドル失うことになります。50回取引すれば、口座の5%が知らないうちに消えてしまいます。

「私は取引頻度が低いから、遅延は影響しない。」

それも間違いです。

取引頻度が低ければ、上級アカウントの手数料はもともと微々たるものです。

しかし、たとえ数回の取引でも、得られる約定価格はやはり悪くなります。この損失を回避するコストがほぼゼロなら、なぜ不利な条件を受け入れる必要があるのでしょうか？

直接上級アカウントにアップグレードしましょう。

このモデルには前例がある

伝統的な金融市場では、この手法はすでに見られており、「オーダーフローの支払い」と呼ばれています。

@RobinhoodAppはかつて「無料取引」でリテール投資家を引き付け、その注文をマーケットメイカーにルーティングし、マーケットメイカーがリテールの非インサイダー注文と逆方向の取引を行うことで利益を得るというモデルを普及させました。

Lighterのモデルは構造的にこれと似ています。標準アカウントで得られるのは無料取引ではなく、より遅い取引です。この遅延は、より速い参加者によって利益に変えられます。

取引所はあなたから手数料を取る必要がありません。なぜなら、実際には執行品質で支払っているからです。

Lighterの良い点と悪い点

Lighterは遅延データを隠してはいません。実際、ドキュメントに記載されています。

しかし、透明性は明確さと同義ではありません。

タイトルで「0%手数料」を強調し、「300ミリ秒の遅延」を細則に隠すのは戦略であり、ユーザーの理解ではなく登録コンバージョン率を追求しています。

ほとんどのリテール投資家は遅延の意味を理解しておらず、逆選択が何かも知らないため、実質的なコストを計算できません。

そしてLighterはそれを理解しています。

上級アカウントはあらゆる面で「手数料ゼロ」の標準アカウントよりもお得であることは議論の余地がありません。