金融庁、仮想通貨カストディ業者に登録制導入を検討

金融庁は7日、暗号資産（仮想通貨）のカストディ（保管・管理）事業者に対し、登録制を導入する方向で検討していることが分かった。

この方針は、同庁が進める仮想通貨規制の包括的見直しの一環であり、2025年11月7日付の公式説明資料で明らかにされた。

金融庁は、仮想通貨を従来の「決済手段」から「金融商品」として再定義する方向で議論を進めており、2026年にも金融商品取引法を改正する見通しだ。

この改正により、仮想通貨交換業者はより厳格な監督下に置かれ、金融商品取引業者と同様の内部管理体制が求められる可能性がある。

規制強化の背景にある複数の要因

今回の規制強化 の背景には、詐欺やハッキング被害などの事件が相次ぎ、利用者保護の強化が急務となっている点がある。

また、 分散型金融（DeFi） の急成長や、日本初の円連動型ステーブルコイン JPYCの発行開始が迫る中で、デジタル資産の種類が多様化していることも一因だ。

さらに、金融庁は大手銀行と連携し、ブロックチェーン基盤での ステーブルコイン 発行を検証するプロジェクトを開始。

トークン上場や取引所の内部情報を利用した不正取引など、インサイダー取引の防止策も検討している。

今後の見通しと市場への影響

この改革は、2025年6月6日に施行された改正資金決済法を含む広範な政策パッケージの一部であり、デジタル金融分野の透明性と利用者保護を目的としている。

既に市場では影響が見られ、 海外取引所 のBybitは日本での新規口座開設を停止。金融庁の新たな枠組みがグローバル企業の日本展開に影響を与え始めている。

金融庁は今後、銀行が仮想通貨交換業者として登録し、カストディサービスを提供できるようにする案も検討中だ。

これが実現すれば、従来の金融機関によるデジタル資産管理が制度的に可能となる。

法案内容はまだ調整段階で、変更の可能性もあるが、技術革新と利用者保護のバランスを取る形で包括的な規制を整備する主要国となる可能性を示している。