主なポイント
- デジタルユーロのパイロットフェーズは2027年に開始され、最初の発行は2029年に予定されているが、法的枠組みの承認が条件となる。
- 批判者は、ECBがプライバシー保護と主権を主張しているにもかかわらず、CBDCが政府による監視と金融コントロールを可能にすると主張している。
- コミュニティからは、CBDCに対する欧州市民の反対を示すパブリックコンサルテーションの結果を指摘し、このプロジェクトの民主的正当性に疑問が呈されている。
暗号資産コミュニティは、European Central Bankが最近発表したデジタルユーロプロジェクトの次フェーズへの進展決定に対し、引き続き厳しい批判を浴びせている。
ECBは最近、デジタルユーロプロジェクトのロードマップを更新し、進捗報告書を公開した。進捗報告書によると、デジタルユーロは2027年にパイロットフェーズを開始し、法的枠組みの確立を前提として、2029年に最初のデジタルユーロ発行を計画している。
これらのアップデートとともに、ECBはX上でプロジェクトを次のフェーズに進めることを発表し、暗号資産コミュニティのメンバーや、表向きには懸念を抱く欧州市民から多くの否定的な反応が寄せられた。
理事会はデジタルユーロプロジェクトを次のフェーズに進めることを決定しました。
デジタルユーロは、ヨーロッパ市民の選択とプライバシーの自由を守り、我々の主権とレジリエンスを強化します。pic.twitter.com/Io3i26Gtyd
— European Central Bank (@ecb) 2025年10月31日
プライバシーとCBDC
X上の投稿に対する多くの反応の中で、デジタルユーロがユーザーのプライバシーを保護するという考えに対する一般的な不賛成が主な苦情となっているようだ。
ECBによれば、「デジタルユーロはヨーロッパ市民の選択とプライバシーの自由を守り、我々の主権とレジリエンスを強化する」とされている。付随する動画の中で、ECB総裁Christine LagardeはこのプロジェクトをEUの防衛と主権に結びつけ、デジタルユーロは「ヨーロッパが自らを守り、自国通貨で取引できる能力を体現している」と主張した。
ECBのようなCBDC推進派は、デジタルユーロが決済システムの近代化、デジタル時代における通貨主権の維持、市民が常に安全で汎欧州的な中央銀行マネー（デジタルキャッシュ）にアクセスできることを保証するために不可欠だと考えている。
一方で反対派は、CBDCが市民の金融生活に対する政府の監視とコントロールを強化する抑圧の道具として利用される可能性があると主張している。
あるXユーザーはECBの発表に対し、「これはプライバシー、金融主権、個々の取引に対する中央集権的コントロールの強化の可能性について重大な懸念を引き起こします。データの悪用や個人の自由の侵食というリスクは無視できません」と述べている。
他にも数多くの投稿が、CBDCが政府の監視ツールとして利用される可能性について同様の懸念を表明し、多くのユーザーがこのプロジェクトを支える民主的プロセスに疑問を投げかけている。
「Venom」というハンドル名のユーザーは、「理事会は市民に意見を求めたことがあるのか」と問い、「これが民主主義か」と皮肉を述べた。別のユーザーは「この『理事会』を選んだのは誰なのか、EUが実施したコンサルテーションの結果に反して決定を下すこの理事会を思い出させてほしい。欧州市民はCBDCの危険性を理解し、デジタルユーロを拒否している」と書いた。
否定的な意見がコメントの大半を占めているようだが、本記事執筆時点では、デジタルユーロの次フェーズ開始を発表したECBの投稿は「ratio」されていないことも注記しておく価値がある。372件の「いいね」に対し、327件のコメントが寄せられている。
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