Pieverseはどのようにx402の機会を捉え、BNB Chainの決済ボトルネックを解決するのか？

執筆：Eric，Foresight News

原題：Pieverse が x402 ブームに乗った理由とは？

x402 は AI 支払いのストーリーに火をつけましたが、その火はすぐには BNB Chain には及びませんでした。その理由は、x402 が非常に初期段階であるため ERC-3009 標準のみをサポートしており、BNB Chain 上のステーブルコイン（USDC を含む）はこの標準をサポートしていないからです。

この時、MVB に選出されて以来 Binance および BNB Chain から一貫したサポートを受けてきた決済プロトコル Pieverse が登場しました。Pieverse は、ERC-3009 標準をサポートする USDT ラップドトークン pieUSD をリリースすることで BNB Chain が x402 をサポートできない問題を解決しただけでなく、「支払い」機能のみをサポートする x402 を「x402b」へとアップグレードしました。簡単に言えば、Pieverse は元々の仕組みに基づき、支払いに検証可能なレシートを生成し、支払いが具体的に誰と誰の間で行われた取引であることを証明できるようにし、AI が自発的に行った行為ではないことを示しました。

「時間」と関係するプロトコル

Pieverse の発展は2つの段階を経ています。設立当初は「TimeFi」プロトコルとして位置づけられ、Pieverse Timepot モデルのコアは、プラットフォームの一連の仕組みにより、時間を消費してマッチングが必要な人やリソースがより早く対応するターゲットを見つけられるようにすることでした。

Pieverse の最初の3つのプロダクトは Time Bid、Time Draw、Time Task でした。Time Bid はユーザーが専門家の時間に入札できる仕組みで、Pieverse は LinkedIn などのプラットフォームを通じて「専門家」の実力を検証します。最終的に落札したユーザーはプラットフォーム上で Zoom などを使い専門家と直接コミュニケーションできます。Time Draw は抽選形式で投資家、トレーダー、著名人などとプライベートに交流できる機会を提供します。Time Task は誰でもニーズを投稿し、サービスを提供できるプラットフォームです。

コンセプトを除けば、これは単なる仲介プラットフォームであり、無理に「時間」と結びつけている印象が強く、現時点ではこれら3つのプロダクトは稼働しているものの、ほとんどアクティブな動きは見られません。その後 Pieverse がリリースした VC Arena は、上記の仕組みを応用して VC とスタートアップチームをマッチングさせることで一定の注目を集めました。

設計思想の問題に気づいたのか、Pieverse は方向転換し、より金融化され、参加感の強いプロダクト Time Challenge をリリースしました。

Time Challenge の本質は、日常のコミットメントを構造化し、期限付きで実際の財務リスクを伴うチャレンジに変換することです。フィットネス目標、生産性目標、個人のマイルストーンなど、ユーザーはチャレンジを作成または参加し、リスクをロックし、結果の評価に応じて報酬を得ることができます。

チャレンジは2種類あり、Prediction Challenges は参加者が自分で目標を設定し一定額を賭け、他のユーザーも挑戦者が期限内に目標を達成できるかどうかに賭けます。最終的に勝者は挑戦者と予測を外した側の賭け金を獲得します。Commit Together は同じ目標を持つグループが同額を賭けて自分が目標を達成できるかを競い、最終的に達成した人が未達成者の賭け金を獲得します。

個人の利益が集団の利益になると個人に動機が生まれると言われますが、このように皆で監督し合い、目標達成を約束するゲームは、実際にお金を賭けることで独特の興奮をもたらし、参加者数もそれを証明しています。その後、多くの Web3 プロジェクトが特定のタスク達成をチャレンジ形式で設定しましたが、前述のシナリオよりも確かに面白くなっています。

決済への転換でトレンドを捉える

今月9日、Pieverse は決済ツール Pieverse Timestamping を発表しました。多くの決済ツールと異なり、Pieverse はこれまで蓄積した「タイミング」に関する開発経験を活かし、自動インボイス作成、ステーブルコイン決済、法域の法律・税務要件に準拠したレシート生成のプロセスを実現し、各取引にブロックチェーン上のタイムスタンプを付与して、不変かつ検証可能な支払い証明を作成します。

少なくとも現時点では、決済への転換は正しい判断だったようです。新プロダクト発表から2週間足らずで x402 が主要テックメディアのトップニュースを飾り、Pieverse もリリースしたばかりの Timestamping を活用して x402 に検証可能なコンポーネントを追加し、テストネットをローンチ。これにより、ERC-3009 をサポートするトークンがなかった BNB Chain が一気に追い抜きを果たしました。

x402b を使った取引の流れは大まかに以下の通りです：

1. クライアントからリソースサーバーへ：X-PAYMENT ヘッダー付きの HTTP リクエストを送信（支払い＋オプションのコンプライアンスメタデータを含む）。

2. リソースサーバーから Facilitator（「オンチェーン代行＋検証＋決済」のインフラサービスプロバイダー）へ：署名を検証し、/settle で決済を開始。

3. Facilitator からブロックチェーンへ：ユーザー署名の認可で pieUSD コントラクトの transferWithAuthorization を呼び出し（Gas 代不要）。

4. Facilitator から BNB Greenfield（オプション）：コンプライアンスレシートを生成し Greenfield にアップロード、証明書を不変かつ監査可能にする。

5. Facilitator からリソースサーバー、さらにクライアントへ：標準 x402 レスポンスを返却、オプションで Greenfield レシート URL を含む。

簡単に言えば、単一の支払いプロセスにユーザー署名、サービスプロバイダーの提出、BNB Greenfield での証明保存が含まれており、BNB Chain 上の x402 の発展を大きく前進させました。これにより、トークン発行前から市場の注目を集めることに成功しました。

Web3 バックグラウンドの強い中国系チーム

現在 Pieverse の公開されている共同創業者は資金調達のプレスリリースに登場した Colin Ho のみですが、詳細な情報は見つかりませんでした。ただし、LinkedIn で Pieverse に関連する3名はかなり強い Web3 Native バックグラウンドを持っています。

CMO の David Chung は、米国のビットコイン P2P 取引プラットフォーム Paxful でユーザーエクスペリエンスやコピーライティングを担当していました。「コアコントリビューター」と自称する H Fran は、かつて弘毅投資で投資業務に従事し、その後自身のスタートアップが Alibaba に買収されました。もう一人の共同創業者 Junjia He（おそらく技術責任者）は Uber のソフトウェアエンジニアを経て、2018 年に QuarkChain にエンジニアとして参加。シャーディングによるブロックチェーンのスケーリング研究のほか、ステーブルコイン、DEX、レンディングマーケットなど DeFi プロジェクトもリードしました。

今年4月、Pieverse は BNB Chain の Most Valuable Builder（MVB）第9シーズンに選出され、先週には Pieverse が Animoca Brands と UOB Ventures 主導による700万ドルの戦略的資金調達を完了したと公式発表。参加投資家には 10K Ventures、Signum Capital、Morningstar Ventures、Serafund、Undefined Labs、Sonic Foundation などが含まれています。

このように、BNB エコシステムに選ばれてから決済への転換、資金調達、そして BNB Chain の x402 サポートまで、Pieverse は常に正確なタイミングで動いてきました。もし AI 支払いと x402 の市場熱がしばらく続けば、Pieverse はトークン上場でもう一度「波に乗る」可能性があります。