トランプ関税発表で仮想通貨市場が急落 ビットコイン一時10万ドル割れも反発へ

トランプ関税発表でビットコインが急落 米中摩擦再燃で市場が動揺

2025年11月1日に発効予定の対中100%関税を米国のドナルド・トランプ（Donald Trump）大統領が発表し、米中関係の緊張が再び高まった。

これを受けて仮想通貨市場は大きく反応し、主要通貨のビットコイン（Bitcoin/BTC）は24時間で12%下落。イーサリアム（Ethereum/ETH）やソラナ（Solana/SOL）なども同様に値を下げた。週明けにトランプ氏の発言トーンがやや和らいだことで、相場は徐々に落ち着きを取り戻し、反発の兆しを見せている。

発端と急落の流れ

今回の関税措置は、中国のレアアース輸出規制に対抗する形で打ち出されたもので、トランプ大統領は、あらゆる中国製品に100%の追加関税を課す方針を示し、世界市場に大きな波紋を広げた。

この発表を受けてS&P500は2.7%下落し、リスク資産全体に売りが波及。ビットコインは11万ドルの節目を割り込み、一部の取引所では10万2,000ドル台まで下落した。イーサリアムは3,900ドルを下回り、ソラナやBNB、XRPといった主要銘柄も二桁の下落率を記録している。

仮想通貨関連株にも影響が及んだ。Coinbase（COIN）は7.7%安、Bullish（BLSH）は9.4%安、MicroStrategy（MSTR）は4.8%安と軒並み下落。MicroStrategyの純資産倍率（mNAV）は1.18倍を下回り、19カ月ぶりの低水準に沈んだ。

市場データによると、発表からわずか1時間で約70億ドル（約1兆円）相当のポジションが清算され、その約8割がロングポジションだった。DEX（分散型取引所）では清算の連鎖が発生し、24時間で192億ドル（約2.9兆円）を超える建玉が消失。主要取引所ではアクセス集中による遅延が生じ、運営側は「資金は安全（SAFU）」とする声明を発表している。

転機となった動き

市場の混乱が続く中、トランプ大統領がソーシャルメディアに「中国のことは心配しないで。すべてうまくいく」と投稿。この短い一言が投資家心理を和らげ、週末にかけて買い戻しの動きが広がった。

ビットコインは11万4,000ドル付近まで反発し、イーサリアムも4,000ドル台を回復。市場には安堵感が戻りつつある。

反発の背景には、過剰なレバレッジの解消もある。デリバティブ市場では建玉が大幅に減少し、需給が整ったことで相場が安定を取り戻した。さらに、中国が報復措置を控えたことや、米政府高官が「対話の余地がある」と発言したことも追い風となった。

相場の注目点と展開

今回の一連の値動きは、仮想通貨市場が依然としてマクロ経済や政治リスクに敏感であることを改めて示した。

トランプ大統領の一言で相場が急落し、また一言で反発する――。そんな不安定な状況が続いている。今後は米中関係の行方と金融政策の動向が焦点となる。レバレッジ解消によって短期的な下値不安は和らいだものの、市場全体の不確実性は依然として高い。投資家は、価格の戻りと出来高の推移を慎重に見極めながら動く展開が予想される。