Chainalysis、750億ドルの不正暗号資産が公然と隠されていることを特定

Chainalysisは、公開ウォレットに未使用のまま保管されている犯罪関連の暗号資産が750億ドルに上ることを特定しました。この発見は、世界中の法執行機関によって理論上押収可能な膨大なデジタル財宝が存在することを明らかにしています。

2024年10月9日付のレポートで、ブロックチェーン分析企業Chainalysisは、オンチェーンの静的残高に関する画期的な分析を発表し、違法組織およびその下流ネットワークが合計で750億ドル以上の暗号資産を保有していることを明らかにしました。

この調査では、犯罪活動に直接関連するウォレット（約150億ドルを保有）と、違法資金の大部分を受け取った下流ウォレットの広範なエコシステム（残りの600億ドルを保有）を区別しています。

犯罪残高が急増、bitcoinが違法金融の主導権を維持

レポートによると、違法組織が直接保有するbitcoin、Ethereum、ステーブルコインの合計残高は2020年以降359%増加し、2025年7月時点で約150億ドルに達しています。盗難資金がこの分野を支配しており、最大のカテゴリーとなっています。

Chainalysisは、詐欺師やダークネット市場は資金を迅速に移動させる一方で、ハッカーは大量の資金洗浄に運用上の課題を抱えており、資産をオンチェーンで長期間保有せざるを得ないことが多いと指摘しています。北朝鮮に関連する15億ドルのBybitハッキングなど、最近の大規模ハッキングは、大金を目立たずに現金化することの難しさを示しています。

また、レポートは違法組織に関連する下流ウォレットの広範なネットワークにも光を当てており、これらが合計で600億ドル以上の暗号資産を保有していることを示しています。これは、主要な違法ウォレット自体に保管されている価値の約4倍に相当します。

ダークネット市場の管理者やベンダーだけでも、462億ドルという莫大な資産をコントロールしており、これはSilk Road時代から続くこれらマーケットプレイスの長期的かつ高収益な性質を証明しています。Chainalysisによれば、資金洗浄プラットフォームが中継点として機能することで、資金の全経路を隠すことができるため、この下流合計はさらに多い可能性があります。

違法組織はbitcoinの保有を好む

bitcoinは依然として犯罪者にとって最も好まれる資産であり、全違法組織残高の75%を占めています。その支配力は、時間の経過とともに大幅な価格上昇があったことに起因し、古いウォレットに保有されている残高の価値が大きく膨らんでいます。

犯罪者はbitcoinを長期的な価値保存手段として扱っているようで、レポートによれば、違法なBTCウォレットの3分の1以上が、最後の取引から1年以上経過しても残高を保有し続けています。これに対し、ステーブルコインはウォレット間での集中度が低く、犯罪者が中央集権的な発行者によって凍結されるリスクを認識し、リスク分散を図っているためと考えられます。

Chainalysisのレポートはまた、犯罪者の資金換金方法に大きな変化があることも強調しており、違法組織から中央集権型取引所への直接送金は40%以上から約15%に減少しています。これは、ミキサーやクロスチェーンブリッジを利用した資金隠蔽への大きなシフトを示しています。

法執行機関にとって、こうした行動の変化は資産回収オペレーションのタイミングや実行を複雑にしますが、ブロックチェーンの透明性は依然として稀有な利点を提供します。Chainalysisは、自社のデータがすでに世界中で126億ドル以上の違法資金の押収に役立っていると述べています。