ベトナムの5年間の仮想通貨パイロットプログラム、高ハードルで企業応募ゼロ

ベトナムの仮想通貨パイロットプログラムは企業応募ゼロ

ベトナムの仮想通貨パイロットプログラムは、仮想通貨への関心が全国的に高まり続けているにもかかわらず、企業からの応募が現時点ではまだゼロのままである。

ベトナムの仮想通貨パイロットプログラムには、厳しい資本規制に加え、ステーブルコインやトークン化証券の禁止により、参加者が集まらず、応募はゼロとなっている。このプログラムは企業や投資家の注目を集めているものの、厳格な規則と高要件が二の足を踏む状況となっており、ベトナムにおける新興仮想通貨市場への参入の難しさを浮き彫りにしている。

ベトナム財務省は、グエン・ドゥック・チ（Nguyen Duc Chi）財務副大臣は記者会見で、現地メディアに対し、規制された仮想通貨市場への世界的な関心の高まりにもかかわらず、5年間のデジタル資産取引試験運用への参加を希望する企業からの応募がなかったことを明かした。同大臣はさらに、正式な申請はまだ受理されていないものの、複数の企業がデジタル資産市場への参入に向けて追加事業ラインを登録し、市場参入の準備を進めていると述べた。同大臣は、多くの企業が関心を示しているものの、政府の規則により、このパイロットプログラムに参加できるのは5社のみであると述べた。また、財務省は手続きを迅速化しており、対象となる最初の企業ができるだけ早くライセンスを取得し、ベトナム市場で事業を開始できるようにしていると強調したうえで、次のように述べている。

このパイロットプログラムは2026年までに開始したいと考えています。しかし、進捗（しんちょく）状況は企業が必要な条件をどれだけ満たせるかにかかっています。企業と省の関係部署が緊密に連携することで、スケジュールを早めることができると考えています。

ベトナムにおけるデジタル資産パイロットプログラム

ベトナムのデジタル資産パイロットプログラムは、政府が2025年9月9日に国内の仮想通貨市場を対象とした5年間のパイロットプログラムを開始したことを受けて実施される。

このパイロットプログラムは、仮想通貨取引を非公式なオフショア市場から、ベトナムの金融システムの一部である正式な課税対象となるオンショアチャネルに移行することを目指している。同省は、参加者向けの税金、取引手数料、会計基準に関する規制を整備しており、公安省やベトナム国家銀行などの主要機関との調整プロセスも開始。パイロットプログラム参加者の意見を収集し、ライセンス手続きを最終決定している。

高い障壁が申請を阻む

パイロットプログラムには安全性と透明性を確保するための厳格な規則が設けられており、すべての仮想通貨取引はベトナムドンで行い、仮想通貨を発行できるのはベトナム企業のみとなっている。

これらの資産は、実物資産によって裏付けられている必要があり、法定通貨や証券に裏付けられたコインは認められていない。さらに、外国人投資家は、認可を受けたCASP（仮想通貨サービスプロバイダー）を通じてのみ参加できる。ただし、CASPは最低10兆ドン（約570億円）の資本金維持すが条件だ。

約1,700万人のベトナム人がすでに仮想通貨を取引しており、年間取引額は1,000億ドル（約15兆円）を超えており、こうした取引のほとんどは、Binance、Bybit、シンガポール、韓国、香港などのオフショアプラットフォームで行われている。