Aptos Foundation エコシステム責任者 Ash 独占インタビュー：「私たちはクローズドなエコシステムを作りたいのではなく、Aptos を見えないインフラにしたい」

Q：今回が初めての出演ですが、簡単に自己紹介をお願いします。

Ash：皆さん、こんにちは。私はAshです。現在Aptos Foundationでエコシステム全体、流動性、DeFi、パートナーシップ、助成プロジェクトなどを担当しています。簡単に言えば、エコシステム全体の盤面を整える役割です。

以前のキャリアの大半は、YouTubeやSpotifyなど、消費者向けインターネットアプリの拡大に携わってきました。その頃は常に「クリエイターとユーザーの利益をどう一致させるか？」を考えていましたが、どうしても摩擦が生じていました。Web3に出会ったとき、初めて「ここならインセンティブが本当に一致する」と感じました。プロダクト開発者でもコンテンツクリエイターでも、ユーザーと同じ立場に立てる。それが私がWeb3を好きになった理由です。

Q：最近話題のDAT（デジタルアセット国庫会社）についてどう思いますか？

Ash：私の「シンプルな意見」をお伝えします。実はDATが多ければ多いほど良いと思っています。なぜなら、皆が「どのモデルが本当に合理的か」を考えるきっかけになるからです。

さらに重要なのは、DATが全く新しいオーディエンスを引き寄せていることです。彼らは従来のユーザーとは全く異なる視点を持っています。

私が最も注目しているのは、業界がいつtipping point（転換点）を迎えるか、つまりプロジェクトやファウンデーションがこれら新しいユーザーに本気でサービスを提供し始めるタイミングです。

私たちにとって、今はまだ「初期段階」です。私たちがやるべきことは、cryptoとAIという世界のGDPを最も押し上げる可能性のある分野に継続的にベットすることです。忘れてはいけませんが、Aptosの技術的なDNAはLibra/Diemから受け継がれており、当時のMetaのコアエンジニアが多く在籍しています。だからこそ、これらの発展に私たちは非常にワクワクしています。

Q：AptosのRWA（現実世界資産のトークン化）へのアプローチは？

Ash：一言で言えば、私たちがこれだけ力を入れて開発した技術は、その野心に見合うものでなければなりません。

Meta時代、私たちが考えていたのは冗談ではなく、「InstagramからWhatsApp間で1兆ドル規模の資金が流れる準備はできているか？」というレベルの課題でした。だからこそ、今日Aptosが機関投資家の関心を素早く集めているのも不思議ではありません。

今の私たちは完全にオープンなネットワークです。次のステップは、これらの資産を本当にDeFiに持ち込み、一般ユーザーが使えるようにすることです。まずエコシステムの基本的なピースを揃え、AaveやChainlinkのようなトップパートナーを導入して、エコシステムの安定性を確保します。

私たちが目指すのは、Aptosが「見えない存在」であり、「使える」ことさえ保証できれば他は重要ではないということです。ユーザー体験は中央集権的に感じられるが、基盤は分散化されている。それこそが本当の方向性です。

Q：多くの機関がAptosを選んでいますが、彼らが重視している点は？

Ash：機関投資家は非常に慎重で、徹底的なデューデリジェンスを行います。私たちの強みは以下の通りです：

• チームへの信頼：Meta時代から私たちを知っています。
• Move言語：これはMetaが機関レベルのセキュリティ要件を満たすために独自開発したスマートコントラクト言語です。
• パフォーマンスのDNA：設計段階から10億人規模の資金移動を支えるために作られています。

もちろん、これはチャレンジでもあります。開発者はEVMに慣れているので、「EVMができるのに、なぜMoveを学ぶ必要があるのか？」と疑問を持ちます。これは現実ですが、同時に私たち独自の参入障壁でもあります。

Q：最近注力しているDecibelとは？

Ash：DecibelはAptos Labsと共同でインキュベートしたオンチェーントレーディングプラットフォームです。

その出発点はとてもシンプルです。もしニューヨークの街角で通行人に「cryptoにはたくさん稼げるチャンスがある」と言ったら、最初の反応は「じゃあ、どこに行けばいいの？」でしょう。

Decibelは、彼らに一つの入り口を提供し、馴染みのあるインターフェースでリスク許容度に応じて選択できるようにします。高リスクのデリバティブ？パッシブインカム？ワンストップで完結します。

さらに重要なのは、Decibelは単一のアプリケーションではなく、プロダクトスタックであることです。Solana上のJupiterのように、バックエンドで複数のアプリを統合し、フロントエンドの体験はスムーズです。これにより、エコシステムチームの成長を促し、ユーザーにシームレスな体験を提供できます。Decibelは今後6ヶ月以内にメインネットでローンチ予定です。ご期待ください。

Q：新しいプラットフォームは既存のDeFiアプリと競合しませんか？

Ash：むしろ、これは加速装置だと思います。もしあなたが賢いチームなら、Decibelがもたらすトラフィックと注目を活用し、チャンスを掴むべきです。

Decibelは全てのDEXを置き換えるものではなく、スタック型のアーキテクチャです。PhantomとJupiterの関係のように、Phantomはフロントエンド体験が良く、Jupiterが裏で深い流動性を提供します。双方がウィンウィンです。

Q：伝統的な金融大手がトークン化ETFを推進しています。Aptosはどう関与しますか？

Ash：私たちはストラクチャードファイナンス資産の発行に非常に注目しています。ただし、選定基準にはより慎重です。十分な流動性と採用度があるものはどれか？本当にメインストリームエコシステムに入れるものはどれか？

もう一つのポイントはカスタマイズ性です。大手金融機関は「ワンサイズフィッツオール」のチェーンを使いたくありません。彼らは高度にカスタマイズ可能な体験を求めています。私たちはNamespaceというものを設計中で、Aptos上でカスタマイズされたブロックチェーンを構築できるようにします。

本当の1兆ドル規模のチャンスは、新興市場と先進市場をつなぐことです。例えるなら、ナイジェリアのユーザーが1秒でTesla株を買い、完全な株主権利を享受できるなら、それはグローバル資本市場の大きなアップグレードです。

Q：RWA市場の将来規模は？Aptosの10倍成長ポイントは？

Ash：今後2～3年で、RWA市場は数兆ドル規模に達する可能性があると思います。Aptosの成長ポイントは2つです：

• 新しい需要の入り口、例えばDATやDecibel。
• 全く新しいアプリケーション層、例えばShelby。

Shelbyは私たちが展開する分散型リアルタイムクラウドで、分散型YouTube/Twitchを目指し、クリエイターエコノミー、AIトレーニング、リアルタイムコンテンツ配信を支えます。

考えてみてください。インターネット広告市場は2030年までに1兆ドル規模に達しますが、オンチェーントレーディングの年間収益は40億ドルしかありません。このギャップは非常に大きい。Shelbyはこのギャップを埋める鍵となります。

Q：なぜShelbyがそれほど重要なのですか？

Ash：AIによる計算力需要は爆発的です。OracleがOpenAIとの提携で株価が急騰したのはその好例です。未来のクラウドは、より速く、より安く、グローバルにアクセス可能で、かつ検証可能でなければなりません。

Shelbyはまさにこの方向に進んでいます。AIのインフラであるだけでなく、新世代のクリエイターエコノミーのエンジンでもあります。今日インターネットで起きている全て、コンテンツ、広告、エンターテインメントをすべてオンチェーンに移行させます。

Q：最後に、Aptosの未来をどう見ていますか？

Ash：私たちはすでに第3、第4世代の高性能パブリックチェーンの代表であり、チームは安定し、資金も豊富で、インフラも信頼できます。

私たちは短期的な投機を追いかけるのではなく、Decibelのようなプロダクトイノベーションで流動性をもたらし、ShelbyでコンテンツとAI市場を開拓し、Aptosを金融、コンテンツ、AIをつなぐコアインフラに育てていきます。

私はよく冗談で「アパートを買う（Buy an apartment）」と言います。これが私のAptosへの比喩です——堅実で、耐久性があり、長期保有に値する。

まとめ

DATからRWA、さらにDecibelやShelbyまで、Aptosの展開は単なる「高TPSパブリックチェーン」の物語を超えています。Ashのスタイルは率直でユーモラスですが、その背後には明確なロジックがあります：

• Aptosが目指すのは単なるチェーンではなく、見えないインフラであること；
• プロダクト体験を最優先し、技術は体験のためにある；
• 金融とAIは次の10年で最も重要なチャンスである。

彼の言葉には興味深いまとめがあります。「Aptosは消えません。私たちはずっと存在し続けます。」

注：本稿は英語音声インタビューに基づき編集した中国語の簡略版であり、一部表現は原意を損なわない範囲で軽微な修正・統合を行っています。