75万ドルで大統領の隣人に、二人の中年男性によるTrump Towerでの富豪計画

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BlockBeats2025/09/10 09:04

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著者:BlockBeats

トランプ時代のアメリカでは、最も良いビジネスはビジネス自体を行うことではなく、あらゆるビジネスのコネクターになることだった。

原文タイトル：《テナントからブローカーへ、トランプタワーでの暗号ビジネス経済学》

原文著者：David，深潮 TechFlow

2025年1月、トランプがホワイトハウスに復帰した。彼が署名した大統領令の中で、特に注目を集めたのは、401(k)年金が暗号資産への投資を許可されたことだった。

政策発表の1か月後、「American Bitcoin」という会社がナスダックに上場した。「世界最大のビットコインマイニング企業」を目指すと称するこの会社の主要株主には、トランプの息子であるEric TrumpとDonald Trump Jr.も名を連ねている。

これらの出来事をつなぐのは、ほとんど知られていない企業、Dominari Holdingsだ。

トランプファミリーと暗号ストーリーに関わったことで、同社の株価は年初の1.09ドルから6.09ドルへと上昇し、450%以上の伸びを記録した。

この会社の変貌ぶりはあまりにも劇的で、多くの人が4年前まで同社が連年赤字の製薬企業だったことを忘れてしまうほどだ。

これは、年間家賃75万ドルで数千万ドル規模のビジネスを動かす物語だ。主人公は暗号界の大物やウォール街の巨人ではなく、二人の抜け目ない中年男性——弁護士出身のAnthony Hayesとウォール街のベテランKyle Woolである。

彼らの成功の秘訣はとてもシンプルだ：トランプタワーに引っ越し、トランプの息子たちの隣人になること。

高価な決断

2021年、Anthony Hayesが直面したのは荒れ果てた状況だった。

彼が引き継いだ当時、この会社はまだDominari Holdingsではなく、AIkido Pharmaというバイオ医薬品企業だった。同様の企業と同じく、新薬開発に何年も資金を費やしたが、製品化には至らなかった。SECの書類によれば、2023年末までに累積負債は2.23億ドルを超えていた。株価は長期にわたり1ドル前後を推移していた。

（画像出典：NasdaqCM:DOMH Earnings and Revenue History August 12th 2024)

Hayesは製薬の専門家ではなく、弁護士であり、かつて米国トップ100の法律事務所のパートナーを務め、後に知的財産取引専門の会社を設立した。AIkidoを引き継いだ後、彼は二つの決断を下した：

一つは製薬事業を放棄し、もう一つは会社をトランプタワーに移転すること。

そのために彼はKyle Woolを呼び寄せた。Woolはウォール街で20年以上のキャリアを持ち、Morgan Stanley元エグゼクティブディレクター、Oppenheimerマネージングディレクター、アジアのウェルスマネジメント業務も担当した。さらにFox Businessの番組にも頻繁に出演し、Maria Bartiromoの朝の番組の常連だった。

トランプタワーに入居することは何を意味するのか？

会社の年次報告によれば、家賃支出は2022年の14万ドルから2023年には77.3万ドルに急増した。当時、従業員は20人余り。マンハッタンの基準では、この金額で一流オフィスビルの1フロアを借りられる。

さらに重要なのは、当時会社はまだ赤字だったことだ。2025年前半だけで1,480万ドルの損失を出していた。これほどの金額をオフィス賃料に費やすのは、一見すると全く理にかなっていない。

しかし、HayesとWoolが重視したのはオフィス環境ではなかった。トランプの息子EricとDonald Jr.は上階で仕事をしている。エレベーターでの「偶然の出会い」や、共通の友人の食事会で同席することもできる。

トランプタワーの中で、彼らはトランプのビジネスエコシステムの一部となるチャンスを得たのかもしれない。

上下階のビジネス

関係構築には時間とテクニックが必要だ。

Wall Street Journalの報道によれば、トランプタワーに入居後、HayesとWoolは長い「ソーシャル投資」を始めた。ゴルフ大会、チャリティディナー、プライベートパーティー、トランプの息子たちと「自然に」出会えるあらゆる場に顔を出した。

この投資は2025年2月に実を結ぶ。DominariはDonald Trump Jr.とEric Trumpが会社のアドバイザリーボードに加わったと発表。同時にTrump Organizationの幹部3名も加わった。

二人の兄弟の参加は象徴的なものではない。彼らはそれぞれプライベートプレースメントで100万ドルを投じ、約21.6万株を購入。さらにアドバイザー報酬として75万株を受け取った。このニュースが出ると、Dominariの株価は1.09ドルから13ドルに急騰し、最大で1,200%以上の上昇となった。

その後株価はやや下落したものの、二人の投資は数倍に増えた。Bloombergのデータによれば、Eric Trumpは現在約6.3%の株式を保有し、価値は500万ドルを超えている。

しかしこれは始まりに過ぎない。3月31日、Dominariはカナダ上場企業Hut 8と提携し、American Bitcoinを設立した。この会社のポジショニングは興味深い。単なるビットコインマイニングだけでなく、「アメリカ製」を掲げ、トランプの「America First」政策に呼応している。

この取引で、Hut 8は1.15億ドル相当のマイニング機器を提供し、80%の株式を取得。Dominariは3%しか持たない。一見すると小さな割合だが、この3%は6月末時点で3,200万ドルの価値となり、Dominariの最重要資産の一つとなった。

さらに重要なのは、このプラットフォームを通じてトランプファミリーが正式にビットコインマイニング産業に参入したことだ。Eric TrumpはAmerican Bitcoinの9%もの株式を個人で保有している。

8月27日、Dominariは暗号資産アドバイザリーボードを設立し、二人の大物を招聘した：

元BitPay幹部のSonny Singh。彼はBitPayがニューヨーク州の暗号ライセンスを取得し、初の暗号デビットカードをローンチするのを支援した。もう一人はDeFi開発者のTristan Chaudhryで、LitecoinやDogecoinの初期投資家でもある。

「デジタル資産はもはや金融の周縁ではなく、中心に入りつつある。」とCEOのHayesは委員会設立時に語った。

この言葉は無意識のうちに真実を語っているのかもしれない。トランプ時代、暗号資産は確かに周縁から主流へと移行し、先にポジションを取った者たちは大きなリターンを得ている。

グレーゾーンのダンサー

ウォール街では、人脈が財務諸表以上に物を言うことが多い。Dominariの株主リストと関係ネットワークは、グレーゾーンを行き来する生態系を描き出している。

2025年3月、Peter Benzという投資家がBlue Finn Groupを通じてDominariの5.7%の大株主となった。興味深いのは、Benzが複数の企業の取締役を務めていたこと。その中にはIDI, Inc.もあり、この会社の幹部Michael BrauserとPhilip Frostは後にSECから2,700万ドルの株式詐欺で告発された。

Benz本人は不正行為で告発されたことはないが、このような微妙な関係性は、Dominariが機会に満ちつつも規制の縁を歩むエコシステムにいることを示している。

さらに微妙なのはKyle Woolの経歴だ。

Morgan Stanley在籍時、彼のチームはDevon Archer関連の業務を担当していた。ArcherはHunter Bidenの元ビジネスパートナーである。民主党サークルへのサービスから、今やトランプファミリーのオペレーターへと、Woolは米国の権力ゲームの両極を目撃し、関与してきた。

だが本当の問題はこれらの関係ではなく、会社の財務ロジックにある。

Bloombergの報道によれば、2025年第2四半期、Dominariの売上高は3,400万ドルで前年同期比452%増。しかし同期間の管理費は5,350万ドル。そのうちCEOのHayesと社長Woolへのストックオプションだけで2,610万ドルに上る。

つまり、会社が稼ぐすべての収入は運営コストの支払いにも足りず、利益どころではない。最大の資産はAmerican Bitcoinの3%の株式だが、このビットコインマイニング会社は設立されたばかりで、収益化できるかは未知数だ。

しかし投資家は気にしない。

彼らが買っているのは現在の利益ではなく、一つのコンセプト：トランプファミリーの暗号世界の代理人。これこそがDominariの本当のビジネスモデル、政治資本を市場価値に転換することなのだろう。

御用ブローカー

Dominariの野心は自社投資にとどまらない。本当の価値は、トランプファミリーと暗号世界をつなぐ「スーパーコネクター」としての役割にある。Wall Street Journalは同社をトランプファミリーの「go-to dealmaker」（御用取引仲介者）と表現した。

この点を最もよく示すのが三つの事例だ。

一つ目はWorld Liberty Financial（WLFI）とJustin Sunの複雑な関係。

2025年9月、WLFIトークンが取引開始された際、トランプファミリーが支配するエンティティは225億枚のトークンを保有し、当時の価格で約50億ドルの帳簿上の富を手にした。

だがこのプロジェクトは危うく失敗しかけた。Bloombergの報道によれば、WLFIの初期販売は不調で、完了率はわずか7%。トランプへの支払いを発動する最低基準にも届かなかった。決定的な瞬間、Justin Sunが3,000万ドルを投資し、プロジェクトは基準をクリアした。

その後、Justin Sunの投資は7,500万ドルに増え、プロジェクト最大の投資家となった。

一方でさらに重要なのは、Dominari SecuritiesがTronのナスダック上場（逆さ合併）を仲介したことだ。2025年6月16日、SRM EntertainmentがTronとの合意を発表。7月24日、社名変更後のTron Inc.がナスダックで上場し、正式に上場を果たした。この取引で、Justin SunのTronはDisneyやUniversal Studiosに供給する玩具メーカーを買収した。

DominariはトランプファミリーとJustin Sunの双方にサービスを提供し、両者の利益をつなぐ橋となった。Justin Sunが米国資本市場への道を必要としたとき、Dominariがそれを提供し、トランプファミリーのプロジェクトが資金を必要としたとき、Justin Sunが現れた。

二つ目の事例は、Dominariが最近の米国株上場企業Safety ShotとBONKの提携を直接仕切ったことだ。

2025年8月11日、ナスダック上場企業Safety Shotは3,500万ドル相当の株式と引き換えに2,500万ドル分のBONKトークンを取得すると発表。この取引の独占ファイナンシャルアドバイザーがDominari Securitiesだった。

Dominariは取引構造全体を主導した。Safety ShotはBONK.funプラットフォームの10%の収益分配を得て、株式コードをBNKKに変更、BONKチームは取締役会の50%の議席を獲得した。

Dominari Holdings社長のKyle Woolは後にアドバイザリーボード、特にEric Trumpがこの協力を促進したことを公に称賛した。この発言は、トランプファミリーがこれらの取引で重要な役割を果たしていることを事実上認めている。

三つ目は、前述のトランプファミリーによるデータセンターとビットコインマイニングへの布石だ。

American Bitcoinの設立において、Eric Trumpは約7.5%の株式を保有し、最大の個人投資家となった。Dominari HoldingsはAmerican Bitcoinの約3%の株式を保有。トランプの二人の息子は同時にDominariのアドバイザーも務め、それぞれ同社の約6-7%の株式を持っている。

あらゆる重要な取引の背後にDominariの姿がある。時には表舞台のファイナンシャルアドバイザー、時には裏方のコーディネーター、そしてトランプファミリーの暗号帝国のオペレーター、設計者、実行者でもある。