金価格が再び急騰：5大ゴールドトークン徹底解説

著者：Wenser，Odaily

9月2日、スポットゴールドは日中で1％以上上昇し、1オンスあたり3,510ドルを突破、最高値は3,512.27ドルとなり、史上最高値を更新しました。3日朝、スポットゴールドは短時間で10ドル以上急騰し、最高値は3,547ドルとなり、再び新高値を記録しました。驚くべきことに、世界黄金協会が「デジタルゴールド」の導入を目指しているとの報道があり、これがロンドンの9,000億ドル規模の現物ゴールド市場を変革する可能性があります。Odailyは本記事で、最近のゴールド価格動向や業界ニュース、主要なゴールドトークン化プロジェクトなどの情報をまとめ、読者の参考とします。

ゴールドが再び高値を目指す、アナリストは金価格が3,900ドル/オンスまで上昇すると予測

9月1日、スポットゴールドは1オンスあたり3,470ドルを突破し、今年4月22日以来の新高値を更新、日中の上昇率は0.67％に達しました。

その後、わずか2日間で金価格は急速に3,500ドルを突破し、徐々に安定したことで、業界内では今後のゴールド価格の上昇に対する期待が高まっています。

アナリスト：金価格は今後数ヶ月で3,600～3,900ドルのレンジに到達する可能性

Philip Novaのアナリスト、Priyanka Sachdevaはレポートで、スポットゴールド価格が3,500ドルを持続的に突破すれば、今後数ヶ月で金価格は1オンスあたり3,600～3,900ドルのレンジに到達する可能性があると述べました。彼女は、米国の強硬な関税政策が地政学的リスクを高め、リスク回避投資を促進していると指摘しています。また、利下げ期待、政治的不安定、ETF需要の高まりなどが、ゴールドを戦術的なヘッジから多くの投資家にとって戦略的な必須資産へと変化させていると述べています。Sachdevaは、3,800ドル/オンスが金価格が現在の高値を突破する際の最初の明確な心理的関門になる可能性があると考えています。

Financial Times：世界黄金協会が「デジタルゴールド」の導入を計画中

Financial Timesの報道によると、世界黄金協会（WGC）はゴールドのデジタル形態の導入を目指しており、この動きは新たなゴールドの取引、決済、担保方法を創出し、ロンドンの9,000億ドル規模の現物ゴールド市場を根本的に変える可能性があります。

世界黄金協会のCEO、David Taitはインタビューで、この新しい形態により「ゴールドを担保として、ゴールドエコシステム内で初めてデジタルで移転する」ことが可能になると述べました。多くの投資家がゴールドの現物性と取引相手リスクのなさを評価し、リスク回避資産と見なしている一方で、Taitはゴールドの市場カバレッジを拡大するためにはデジタル化が必要だと考えています。Taitは「私たちはゴールドのための標準化されたデジタルレイヤーを構築しようとしています。これにより、他の市場で使われている様々な金融商品が将来的にゴールド市場にも適用できるようになります。私の目標は、世界中の多くの資産運用者にゴールドを再評価してもらうことです」と述べています。

この動きは、世界黄金協会が新たな金融投資環境に対応するための変革と見なされています。これまでゴールドは現物性と取引相手リスクのなさからリスク回避資産とされてきましたが、多くの銀行や投資家にとっては流動性が低く、収益を生まない資産と見なされてきました。Taitの言葉通り、「銀行にとっては、担保という観点だけでも巨額の利益を得ることができる——なぜなら、バランスシート上のゴールドを担保として利用する機会があるからです」。

この計画は主に「集合ゴールド権益（pooled gold interests、略称PGIs）」という新しいデジタル部門が推進しており、銀行や投資家が独立した口座に保管された現物ゴールドの部分的な所有権を売買できるようになります。2026年第1四半期には、ロンドンの商業機関がこのモデルのパイロットに参加する予定です。

現在、ロンドンのゴールド市場の取引は「指定ゴールド（allocated gold）」取引（特定の金塊を対象）と「非指定ゴールド（unallocated gold）」取引（ゴールドの数量のみを約定し、特定の金塊を指定しない）に分かれていますが、「デジタルゴールド」の登場により、ロンドンの店頭ゴールド取引に第三のタイプが加わる可能性があります。

市場現状：ゴールドトークン化プロジェクトの時価総額はゴールドETFの1％未満

Coingeckoのデータによると、トークン化ゴールド市場の総時価総額は現在約26億ドルで、時価総額が4,000億ドルに達するゴールドETF市場と比べると、その規模は1％未満です。比較すると、ゴールドトークン化市場はまだ初期段階にあり、成長の可能性は非常に大きいです。以下に主要なゴールドトークン化プロジェクトを紹介します：

XAUT：Tetherがバック、時価総額13.2億ドル

オンチェーンデータによると、Tetherは8月初旬にEthereum上で129,000枚を鋳造し、現在の価値は約4.55億ドルです。これにより、時価総額は現在13.2億ドルとなっています。

以前、TetherのCEO Paolo Ardoinoは、Tetherを「国家」と見なした場合、その現物ゴールド保有量は世界で上位40位に入ると述べています。7月には、TetherがXAUTの監査レポートを発表し、当時XAUTトークンの流通量は246,524.330枚（現在は約375,572枚に増加）、流通中のXAUTトークンは7.66トン以上の現物ゴールドによって裏付けられているとしています。

PAXG：Paxosがバック、時価総額約10億ドル

PAXGは米国のステーブルコイン企業Paxosが発行しており、その時価総額は過去3ヶ月で記録的な10億ドル超に急増しました。6月以降、このトークンは継続的に純流入が続き、単月の流入資金は一時1.415億ドルに達しました。現在のトークン流通量は282,566枚です。

KAU：Kinesis&ABXがバック、時価総額約1.6億ドル

KAUはケイマン諸島に登録された英国のデジタル資産ユーティリティプラットフォームKinesisが発行しており、各KAUは1グラムの投資グレードのゴールドと連動し、Kinesisの保管庫に保管されています。他のゴールドトークンと異なり、KAUは購入、取引、消費、送金が可能です。償還をサポートするだけでなく、Kinesisプラットフォーム上で資産を保有するユーザーは再分配された取引手数料収入から毎月の収益を得ることができます。また、KinesisバーチャルカードでKAUを消費することでも収益を得ることができ、このカードは世界中の8,000万以上の場所でリアルタイムかつ即時の変換によってゴールド、シルバー、暗号通貨の購入が可能です。

XAUm：Matrixportがバック、時価総額約4,700万ドル

8月初旬、MatrixportはXAUmの固定収益商品を正式にリリースし、7～365日の幅広い投資期間をサポート、BTC、ETH、SOL、BNB、USDTなど15種類の主要資産に対応しています。また、MatrixportプラットフォームはXAUm Mint、Swap、XAUm担保ローンをサポートしており、このトークンはMatrixport傘下のRWAトークン化プラットフォームMatrixdockが発行しています。先月、国際的に有名な企業である幣維による年間2回目のゴールド100％リザーブ監査を完了し、ゴールド管理規模は半年で500％増加しました。

VRO：VeraOneがバック、時価総額約4,100万ドル

VROは英国ロンドンに拠点を置くVeraOneが発行しており、このプロジェクトはAuCOFFRE.comグループと暗号通貨業界のOwen Simoninが共同で立ち上げ、2019年に設立されました。トークン価格は現在約113ドルで、流動性は比較的限定的です。

以下は主要プロジェクトの基本情報（@Grokより整理）：

まとめ：ゴールドのリスク回避属性と節税属性

注目すべきは、今回のゴールドの新高値更新は、米ドルや米国債のパフォーマンスとも無関係ではないという点です。Bridgewater Associatesの創業者Ray Dalioは最近、「米ドルの不良債務状況が間接的にゴールド価格の上昇を後押ししている。国際投資家はすでに米国債からゴールドへとシフトし始めている」と述べました。米国大統領トランプは8月に「ゴールドには課税しない」と発言しています。

今後、ゴールドのリスク回避属性と節税属性を兼ね備えたゴールドトークンが、ますます多くの人々の投資選択肢となるかもしれません。